欧州勢に見せつけられたクオリティの差
とはいえ経験豊富なオランダ人指揮官はワールドカップまでの期間限定登板で、ロシア大会後は今季までシドニーFCを率いたグラハム・アーノルド氏の就任がすでに決まっている。急ごしらえのチームで世界に挑まなければならなかった事実に疑いはない。
ワールドカップまで4ヶ月という状況でチームを任されたファン・マルワイク監督は、前任のポステコグルーが作り上げたチームを解体。システムもアジア予選終盤から熟成してきた3バックを廃し、従来の4バックに戻した。
しかし、思うような結果は出なかった。初采配となったノルウェー戦では、ロシアワールドカップ出場権を逃したチームにあっさりと1-4の惨敗。次の試合で明らかに状態が万全ではなかったコロンビアと対戦してスコア上は0-0のスコアレスドローに持ち込んだが、不安は募った。
ワールドカップに向けたキャンプに入ってからの2試合で、ようやく希望が見え始めた。チェコに4-0、ハンガリーに2-1と、いずれもロシアへ向かう権利のないチームではあったが、意図した攻撃の形も機能しているように見えた。
そして迎えたワールドカップ本番。思い知らされたのは絶対的なクオリティの違いだった。初戦のフランス戦は大健闘とも言える展開に持ち込めた。エンジンのかからない優勝候補の攻撃を粘り強く跳ね返し続け、ロングカウンターでゴールに襲いかかっていく。ビデオアシスタントレフェリー(VAR)に助けられながらもPKで1点奪ってフランスに冷や汗をかかせたが、最後はフランスの個人のクオリティを生かした連係とフィニッシュに沈んだ。
デンマーク戦でも、100%とは言えない出来の相手に奮闘した。開始早々にクリスティアン・エリクセンの芸術的なフィニッシュで先制弾を浴びるも、愚直に攻めてPKを獲得。しっかりと追いついて1-1で勝ち点1を確保し、グループリーグ最終戦に望みをつないだが、勝ち切ることはできなかった。