後半に出た課題。ナイジェリアのカウンターが有効に
一方で、チームには課題も見つかった。前半は布陣変更による効果でペースをつかんだアルゼンチンだったが、ナイジェリアは後半から対応策を打った。前半は高めに設定していたDFラインを下げて裏のスペースを消した。さらにセンターFWのイグアインへのマークを強めることで、アルゼンチンのボールの収めどころを潰した。
これによって、アルゼンチンは前半には1度もなかったアタッキングサードでのボールロストが後半には9回を数え、ナイジェリアのカウンターが有効となった。
イグアインの先発は、アグエロがクロアチア戦後にレポーターに“はめられる”形で監督を批判する形となったことによる措置とも考えられるが、メッシとの流動的なポジションチェンジを増やすためにはアグエロとサンパオリ監督の関係修復が必須と言える。
試合終了間際の劇的ともいえる決勝ゴールによってグループリーグを突破したアルゼンチンは、1回戦でフランスと対戦する。ナイジェリア戦では過去2試合と比べると課題をクリアしたといえるが、この先を勝ち抜くためにはまだまだ足りない。
一方で、それは伸びしろもあるということ。これから短い時間の中でこの4-1-2-3のシステムの成熟度を上げれば、チームのパフォーマンスはまだ上がるはず。
劇的ゴールで地獄の淵から這い上がり、チームの士気も上がっているアルゼンチンがより先のステージへ駒を進める可能性も低くはないだろう。
(文:海老沢純一)
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