98年フランス大会を超えても不思議はない
終わってみれば3連勝。クロアチアは7得点1失点と抜群の安定感で首位通過を果たした。ここ2試合はモドリッチ、ラキティッチの陰に隠れていたコバチッチも高い能力を発揮。81分に交代するまで98回のボールタッチを記録し、パス本数は79本で98.7%という成功率だった。後半途中からはデヤン・ロブレンを最終ラインに加えた3バックにもトライ。システム変更後は劣勢の時間帯もあったが、そうした状況に陥ったことも後々生きてくるはずだ。
メンバーの顔ぶれを見ればダークホース以上の存在になってもおかしくなく、難しいグループを突破したことで期待もさらに高まるだろう。第1節終了後にニコラ・カリニッチを“追放”したが、チームは動揺することなく結束力を増した印象すらある。代表チームが何よりも優先されており、選手たちも忠誠を誓っているからこそだろう。
ワールドカップにおけるクロアチアの最高成績は98年のフランス大会の3位。当時のチームにはズボニミール・ボバン、ロベルト・プロシネツキ、ダボール・スーケルら豪華メンバーがズラリと並んだ。しかし、今回のメンバーにもモドリッチやラキティッチがいる。主役となるスターはもちろん、脇を固める面々もワールドクラスだ。
モドリッチの世代は今回が最後のワールドカップになるかもしれない。集大成となる大会で成績を塗り替えることができれば、このチームは母国の歴史に名を刻むだろう。
98年を越える――。それは決勝進出を意味するが、7月15日、ルジニキスタジアムのピッチに彼らが立っていても不思議ではない。そう思わせるだけのパフォーマンスをグループリーグで見せていた。
(文:青木務)
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