求められる試合を読む力と時間を殺すスキル
コロンビア戦とセネガル戦の目的は、一にも二にも勝利であった。「勝ち切る」「攻め切る」ことが求められ、今の西野ジャパンの得意とする攻撃的な部分を最大化していけば良い試合だった。
だが、ポーランド戦はそれだけでは不十分だ。グループ最終戦であり、目的は「ベスト16」。勝利を目指しつつも、負けない、あるいは不必要な失点を防ぐ戦いが求められる。引き分けで十分という状況を考えると、臆病になってはいけないが、リスクを負いすぎる必要もない。
とどのつまり、今まで以上に試合の流れを読む必要がある。例えば、コロンビア戦では相手が1人少ないにもかかわらず無理に縦パスを入れて、ボールを無駄に奪われる時間帯があった。数的優位を活かせていなかったのである。
今の攻撃力であれば、得点できる計算は立つ。しかし、ゴールが奪えない状況が続いたときにどう対処するのか。裏のコロンビア対セネガルの状況をベンチと共有しながら、時には後ろでボール回しだけして、「時間を殺す」ことも重要になってくる。
今大会はアンダードッグと見られていたチームの好パフォーマンスが目立つ。だが、結局は試合終盤に差し切られている。オーストラリアはフランスに81分に勝ち越しゴールを許した。チュニジアはイングランドに91分に決められた。スウェーデンはドイツに95分に失点し、勝ち点1を逃した。モロッコはスペインに91分に同点弾を許した。
ナイジェリアもアルゼンチンを敗退寸前まで追い詰めながら、86分にゴールを許して逆転された。彼らのサッカーは、それはそれで評価されるべきだが、結果的には勝利に結びついていない。逆に強豪国は批判されながらも、最後は勝ち切っている。
西野ジャパンは強さを見せた。世界に好印象を与えている。だが、それが本物であると証明するためには、ベスト16の切符を掴まなければならない。つまらなくても、美しくなくとも、この試合に限っては結果がすべてだ。
日本は強者になれるか。ポーランド戦は真価が問われる一戦になる。
(取材・文:植田路生)
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