攻撃の充実が生んだ守備の好循環
セネガル戦を引き分けで終えられたことによって、ポーランドとのグループリーグ最終戦が引き分けでも勝ち抜ける状況に自力で持っていけたことは素晴らしいと思います。
勝ち点1を上積みしたことと、チームとして11人の強豪相手にも自分たちの戦いを貫くことができたのは大きな自信になったでしょう。セネガル戦は結果と内容の両面でしっかりと次のステップに進めた試合でした。
日本代表がチームとして目指した守備のアプローチは、これまでと大きく変わっておらず、微調整を加えたくらいでした。それで済んだ要因は、「ボールの奪われ方」が決して悪くなかったことにあります。
日本の攻撃は最終的にセネガルのサイドを崩すイメージがありました。サイドの深い位置まで進むためには、一度中央を使って相手の守備組織を収縮させた方がいいのですが、そこでボールの収まりが悪いと、どうしても奪われ方が悪くなってしまいます。
サイドでボールを奪われる場合、逆サイドの選手がカバーするために絞りながら守れますが、中央でボールを奪われた場合、全体に広がったままカウンターを食らう危険性が大きくなります。つまり「ボールを奪われる場所」が中央かそうでないかが、日本の守備における大きなポイントでした。
セネガル戦では大迫(勇也)選手と香川(真司)選手にかなりボールが収まったので、中央でボールを奪われてカウンターというシーンがほとんどありませんでした。そのことにより、ゲームプランを見直さなければいけない状況が起こらなかったのです。つまり、しっかりボールを保持して攻め込み、奪われたらミドルゾーンに戻り、コンパクトに守備をする、という当初のプランで最後まで戦えました。
攻撃と守備が繋がっているサッカーの面白いところで、攻撃のボールの繋がりと、中央でのボールの収まりが良かったが故に、守備面で問題が起こりにくかったといえます。特に、カウンターが主な攻撃の形であるセネガルにとっては、ポストプレーの精度は大きなポイントでした。だからこそ、試合後にセネガルの監督も「大迫を抑えられなかった」とコメントしたのでしょう。もっと中央でボールを奪ってカウンターの形をとれると踏んでいたということです。