イランのおかげで首位通過
そんな状態が続いたまま、試合は終盤に差し掛かる。そして迎えた81分、モロッコがCKを得ると、これをユセフ・エン=ネシリに押し込まれ、再びリードを許してしまう。この時点でポルトガルがイラン相手に1-0でリードしていたため、決勝トーナメント進出には問題がなかったが、首位通過の道は絶たれてしまう。さすがのスペインも、焦りの色を隠せなかった。
その後、何とか93分のイアゴ・アスパスのゴールで同点に追いつくことができたが、スペインからすれば不安の残る一戦となってしまったに違いない。事実、このゴールもVARにより、オフサイド判定が覆って生まれたものだった。
そして幸運なことに、同時刻に行われていたポルトガル対イランの一戦は、ロスタイムのイランのゴールにより、1-1のドローに終わった。この結果を受け、総得点数で上回ったスペインが首位通過を果たす。望んでいた形でないことは確かであり、ポルトガルに善戦したイランには感謝するべきだろう。
決勝トーナメント1回戦では、ロシアと対戦するスペイン。実力的にも上回っているとみて間違いないが、モロッコ戦のように決定機を多く作れずズルズルと試合を進めてしまえば、最悪の結末を迎える可能性も高い。
イケル・カシージャスがワールドカップのトロフィーを掲げてから8年。スペインは明らかに正念場の時期を迎えている。再び自分たちの時代を取り戻すためにも、早期敗退だけは避けたいところだ。
(文:小澤祐作)
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