香川がこなした真に重要な役割
セネガルのプレッシャーがかなり厳しい中でも、日本がボールをつなぎながらチャンスを作って流れを作れたのは柴崎の展開力や大迫のポストプレーによるところも大きいが、その間でボールを受けながら、タイミングよく前に出てハーフスペースを突き、あるいは一度作ったスペースを乾や原口に使わせた香川のプレーが効果を発揮していた。その香川は左サイドの乾との関係をこう振り返る。
「相手がそこまでマークの受け渡しができていなかったので、僕があまり(乾に)寄らずにそのスペースを空けるということを言っていましたし、そのほうがチームとして流れが上手くできていたので。だからこそ僕が少し下りてスペースを空けるのを意識してやっていました」
セネガルの中盤のインテンシティが高いのは試合前からわかっていたことだが、香川は中盤のディフェンスとディフェンスの間でもボールを触っていた。そこで相手のプレッシャーを吸収して原口、あるいは乾が使うためのスペースを供給し、サイドに展開されれば自分が中央に入り込んでいくという形だ。
「相手が結構きていたんで、ちょっと僕が下りて食いつくならその分スペースが空きますし、もう1回ボールを受けてリズムを作れるというのもあった。それをもうちょっと前後半通してやり続けたかった。バイタルエリアのスペースをどう使うかというのは、乾も中に入ってプレーできる選手だし、そこを上手く使わせる動きが必要になってくる」
攻撃の潤滑油として機能するだけでなく、ディフェンスでも高い位置のプレスから自陣でのスペースを埋める動きまで、目立たないながら効果的な働きをしていた。今回は72分に本田と交代し、その本田が値千金の同点ゴールを決める形でヒーローとなったが、香川の存在なくしてスタートから戦術面を機能させることは難しかっただろう。
28日のポーランド戦はもちろん、決勝トーナメントに進出した場合もベルギーかイングランド相手に、香川は欠かせない存在となりそうだ。
(取材・文:河治良幸【エカテリンブルク】)
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