注目されるのは乾や本田だが…
セネガル相手に2度リードされながら、2度追いつく形で2-2と引き分けた日本代表。完璧な試合運びだったわけではない。だが、局面のコンタクトプレーやドリブルで一気にボールを運んでくる相手に苦しみながらも、日本の選手たちは冷静に、それでいて野心的に勝利を目指した結果として勝ち点1を得た。
1得点1アシストの乾貴士や、終盤に値千金の同点ゴールを決めた本田圭佑、乾の1点目をアシストした長友佑都、中盤からゲームを操った柴崎岳、サディオ・マネをゴールシーン以外はほぼ仕事させなかった酒井宏樹など殊勲的な働きをした選手に注目がいくのは当然だ。ところがこの日、目立たないながらもチームの攻守における流れを作っていたのが香川真司だった。彼は試合後、次のように自らのプレーを振り返った。
「最初はやはり苦労したんですけど、相手の身体的なところ、スピードだったり。対応が慣れないところがありましたけど、ただ、徐々に試合をするにつれて時間が経つにつれて良い戦い方、いいポゼッションができていたと思う」
1点目は柴崎からのロングパスに長友が追いつき、そこからパスを受けた乾が得意のファーサイドに巻くシュートによって生まれた。その時は香川もペナルティエリアに入り込んで相手ディフェンスの意識を分散させたが、直接ボールに触ることはなかった。2点目はその香川に代わって入った本田が決めている。
しかし、攻撃面では柴崎と大迫の間で巧妙にポジションを取り、前を向いてボールを触っては乾や原口元気の仕掛けを促し、ワイドにボールが展開されたところでインサイドのハーフスペース(ピッチを縦に5分割した際、中央と両サイドの間になる2本のレーン)を突いて相手のディフェンスを引きつけた。
象徴的だったのが16分のシーンだ。
長谷部から縦パスを受けると、香川は素早く左サイドを走る乾にボールを出し、相手のディフェンスが乾と中央の大迫勇也に引きつけらて生じた間のスペースに入り込んでリターンパスを受けた。そこから左サイドを上がってきた長友にボールを預けると、素早く動きなおしてフリーになり、さらにリターンを受ける。ここはアルフレッド・エンディアイエに縦のコースを切られたが、長谷部に戻すとミドルシュートは惜しくもブロックされた。
「僕とサコ(大迫)のところでうまく入ってサイドのところに展開していたら、なかなかいいチャンスができていたので、なるべくそこのスペースを使うために、ただ、あまり人を入れ過ぎないで、元気や乾が入ってこれるので、そこから僕が1列落としてどんどんボールを受けながら入っていく」(香川)