日本代表のMF乾貴士はセネガル戦のドローに1ゴール1アシストで大きく貢献した【写真:Getty Images】
現地時間24日、ロシアワールドカップのグループH第2節が行われ、日本代表はセネガル代表と2-2で引き分けた。
この試合、国際サッカー連盟(FIFA)によるマン・オブ・ザ・マッチ(MOM=その試合で最も活躍した選手に贈られる賞)には、セネガル代表のFWサディオ・マネが選ばれた。
ところがマネの選出は正しかったのか、異論が巻き起こっている。FIFAがツイッター上でMOMを発表した投稿には、異議を唱えるリプライが殺到し、その多くに「Inui」というワードが含まれていた。あるユーザーが実施したアンケートでは、6000以上の投票のうち92%がマネよりも乾貴士のMOMを推していたのである。
「Inuiじゃないのか? ゴールもアシストも決めている」
「FIFA、ナイスなジョークだな。MOMはInuiかShibasakiだろう」
そんな「Inui」を推す投稿が溢れるが、実際に彼らのパフォーマンスはどうだったのだろうか。
最もわかりやすいのはマネが「1ゴール」だったのに対し、乾は「1ゴール1アシスト」と、より目立つ結果を残している点だ。前者のゴールはGK川島永嗣のミスに詰めたもので、後者はコンビネーションで崩し得意のエリアからカーブをかけたシュートを決めたもの。
また、乾は日本をドローに導くMF本田圭佑のゴールをアシストし、他にもクロスバー直撃のシュートを放った。
サッカーデータベースサイト『Whoscored.com』によれば、マネのレーティング(パフォーマンス採点)は「7.20」で、乾は「8.13」だった。ここでも乾がマネを上回っている。
スタッツを見ると、フル出場だったマネがボールタッチ50回、シュート1本で1ゴール、チャンスに繋がるパス2本、パス成功率75%という数字だったのに対し、87分までプレーした乾はボールタッチ38回、シュート2本で1ゴール、枠内シュート1本、チャンスに繋がるパス1本で1アシスト、パス成功率80.8%だった。
ボールタッチ数などで乾よりもマネに軍配が上がっていても、後者に関してはシュートチャンスが一度しか訪れなかったと見ることができる。基本ポジションは2人とも左サイドで同じだったが、より長い時間ボールに関わりながら、パス成功率の差からも分かる通り、マネは精度を欠き、力を十分に発揮できていたとは言えないだろう。
これまでFIFAによるマン・オブ・ザ・マッチには、明らかに傑出した活躍を見せた選手が選ばれてきた。例えば日本対コロンビアでは、決勝点を挙げたFW大迫勇也が、24日のコロンビア対ポーランドでは2アシストのMF ハメス・ロドリゲスが選ばれるといった具合である。
今回は試合が引き分けだったことや、ファンも投票可能なFIFAのウェブサイトが英語のみの対応で肝心の日本人にとってハードルが高かったことなどが、マネのMOM選出に影響した可能性も考えられる。だが、純粋にプレー内容や結果に与えたインパクトを考慮すれば、乾こそがMOMにふさわしかったと言えそうだ。
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