1ゴールを挙げた乾貴士【写真:Getty Images】
【日本 2-2 セネガル ロシアワールドカップ・グループリーグH組第2節】
日本代表は現地時間24日、ロシアワールドカップ・グループリーグH組第2節でセネガル代表と対戦し、2-2で引き分けた。
「得意なコースでしたし、思い切って打ってみようと。シュートも少ない時間帯だったので思い切って打った結果がああなったのかなと」
乾貴士は自身の得点を振り返っている。0-1で迎えた34分、PA内左でボールを持つと、相手のタイミングを外し、冷静にゴール右角に流し込んだ。セネガルの選手が寄せてきてはいたが、淀みない身のこなしと足の振りで結果を残した。
ワールドカップでの初得点となった。「嬉しかったですけど、同点ゴールということもあったので」とすぐに気持ちを切り替えた。むしろ「後半の2点目を取るチャンスにしっかり決めないと、ああいう形になってしまうので、そういうところでも迷惑をかけてしまったかなという思いはあります」と、反省点を口にする。それでも、チームに勇気を与える1点だったのは間違いない。
圧倒的な技術を活かし、敵の間をすり抜けていくようなドリブルが魅力。ボールコントロールも巧みで、観る者を楽しませる。だが、「決定力がないとサッカー人生でずっと言われてきている」と乾が言うように、これまでフィニッシャーとしてフォーカスされることはなかった。
「自分自身もそれは分かっていることです。でもサッカーをやっている以上、それを気にせずやり続けるしかない。打つチャンスがあれば前の選手として打たないといけないと思っているので。自分が打つ、となった時は自信を持てているのが最近です」
2009年には当時J2だったセレッソ大阪でリーグ戦20得点を記録しているが、その他は一桁止まり。ゴール以外の仕事で際立ったパフォーマンスを見せており、得点が少ないからといって乾の価値が下がることはない。だが、ワールドカップという大舞台でネットを揺らしたことで、このアタッカーの存在はより大きなものとなった。
ゴールを決められるようになった理由は「特にない」と言う。「たまたま今が入っているだけです。これが自分の実力だとも正直思っていないので」と控えめだ。自分の結果よりチームの結果を優先しているからだろう。それは、「少しでもチームのため、日本のためになるのなら自分としてはすごく光栄なこと」という言葉に表れている。
後半にも得意な角度からシュートを放ったが、クロスバーに嫌われた。同点弾を挙げたが、「あの1点には満足は全くしていない」と乾。ポーランド戦でもチームのためにプレーし、チャンスの場面でゴールを狙う。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
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