監督の意志を選手が共有すること
ただ、現実的に中盤からボールをつないで揺さぶりをかけていくというスタイルを11人のセネガルに対してやっていくことは簡単ではないし、ボールを奪われた時のリスクも少なからず生じる。まともなデュエルになる状況を少しでもおさえながら、相手のボールロストを狙い、そこで奪えればショートカウンターという形であわよくば得点を狙いながら、状況によっては勝ち点1を確保して行くような戦い方も取ることはできるはず。
しかし、西野監督はあえてそうした“安全策”を取らずに勝ち点3にこだわってリスクチャレンジしていく構えを示している。それはチームの勢いと機を逃さないという勝負哲学なのかもしれない。そしてその崇高な志に選手が向いているのであれば、それはコンセプトでありリスペクトして見届けるに値する。サッカーに絶対の正解はない中で、監督がこれと決めた方向性を選手が共有することほど大切なことはないからだ。
ただ、実際に0-0や1-1で70分が過ぎた時に西野監督がどういった交代カードを切り、選手にどういう戦いを促すかはその時になってみないと分からない。まずアグレッシブに戦う中でもセネガルの圧力に飲み込まれないでイーブン以上の流れでいけることに期待しつつ、終盤まで競る展開になった時の日本代表の戦い方の推移を見届けたい。
(取材・文:河治良幸【エカテリンブルク】)
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