日本代表よ、現実を直視せよ。さもなくば…
強豪以外の国になるとそれぞれ65%、63%、53%と計算できる。初戦の勝利が、個々のプレーやチームの結束などにプラス効果があることも想像に難くないが、他の試合も同じように重要である傾向はつかめるはずだ。
年間を通して戦う各国のリーグ戦とは異なり、短期決戦のワールドカップでは初戦の重要性が繰り返し語られる。「初戦に勝利するとグループリーグ突破率85%」の考え方が好まれ、拡散した背景には初戦重視の先入観があったのではと思えてくる。
ここ再度、計算した数値の傾向に注目して欲しい。日本のように強豪ではなくとも過去の大会の初戦、2試合目、3試合目での勝利が決勝トーナメントを引き寄せる数値は65%、63%、53%だ。詳細は省略するが各試合で負けや引き分けのケースを計算すると残念な数値しか出てこない。裏を返せば、それほど勝利という勝ち点3のインパクトが絶大で決勝トーナメント進出を左右するということだ。
過去5大会の結果から計算すると、リーグ戦を2位で通過するために必要な勝点は概ね4から6ポイントとなっている。決勝トーナメント進出には3試合中に最低1つの勝利が不可欠なのだ。すでに今大会の日本は達成しているのが、決勝トーナメントへ進出するにはまだ勝ち点が足りない。ここまで見てきてわかるように初戦だけではなく同じくらい重要な2戦目、3戦目で対戦する強敵のセネガルとポーランドから勝ち点を奪い、積み上げなくてはならない。
2大会ぶりのベスト16進出に向けて楽観などできないのが日本の置かれた現状だ。だからこそ日本代表が気迫あふれるプレーでもぎ取ったコロンビア戦での貴重な勝利の価値を、85%のような“トリック”で脱色することなく、正確に受け止めなければならない。
なぜなら決勝トーナメントへ向けて挑戦する選手たちに推進力を与えるのは、12番目の選手であるファン・サポーターの応援だけだからだ。残りの勝ち点を獲得するため、現実を直視したうえで精一杯の熱いエールを送り、フィールドで戦う選手たちの背中を力強く押し出して欲しい。
(文:山下祐司)
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