強豪とそれ以外で大きな差の出る危ういデータ
この強豪国だけで初戦に勝利して決勝トーナメントに進出した突破国数を計算すると、初戦を勝利した国は「43」を数え、そのうち「40」が決勝トーナメントに進出していた。なんとグループリーグ突破率は93%にものぼっている(40/43)。
他方、強豪以外の国を数えると初戦に勝った国数は「17」あって、そこから「11」が決勝トーナメントに進出した。初戦に勝利してグループリーグを突破した確率は65%(11/17)にしかならない。つまり、強豪が勝つべくして勝ち、決勝トーナメントに進んだことは明らかだ。
すると、85%の実体が強豪国の“パワー”に押し上げられた数値でしかないことがわかる。これがリーグ突破率85%の“トリック2の種明かしだ。ロシアワールドカップ直前の日本のFIFAランキングは61位。以上を踏まえると、今大会の初戦に勝利した日本のグループ突破率が「85%」だと素直に受け入れられる人はいないだろう。
とはいえ、強豪以外の国で計算したグループリーグ突破率の65%も決して低くはなく、期待を持たせる数値に見える。さらに、この数値は初戦の重要性を明示しているようにも感じさせる。
しかし、先に記した同じ方法で2、3試合目の勝利が全体でどれほど決勝トーナメント進出に関連するか計算してみると意外に思うかもしれない。2試合目に勝利すると決勝トーナメントの進出率は78%になる。85%よりは低いが、高いと感じないだろうか。また同様に大会直前のFIFAランキングで20位以内の強豪とそれ以外に分けて計算すると強豪のみで85%、強豪以外の国だと63%になる。
グループリーグ最終戦の3試合目も同じように計算すると全体では77%。強豪のみでは88%、それ以外の国だと53%になる。
数値を整理すると、グループリーグ突破率は1試合目に勝利すると85%、2試合目は78%、3試合目だと77%になる。これを各大会直前のFIFAランクで20位以内の強豪とそれ以外に分けると、強豪が1試合目に勝利すると決勝トーナメント進出の確率は93%、2試合目勝利で85%、3試合目勝利で88%になる。