実は楽観的ではなかった「85%」のからくり
ロシアワールドカップ初戦で2-1とコロンビアに勝利し、最高のスタートを切った日本代表。香川真司、大迫勇也と決めるべき選手が得点を決め、1人多いアドバーンテージを生かせた試合から、2大会ぶり決勝トーナメント進出への期待が高まっている。
この歴史的な勝利に触発されたのか、テレビや新聞、Web上などで“おかしな数値”がひとり歩きしている。それが過去のワールドカップから導かれた、「初戦で勝利したチームのグループリーグ突破率85%」だ。日本代表のベスト16入りがすでに保証されたような楽観論だが、この数値には“トリック”が潜んでいる。
この「85%」はワールドカップでの過去の試合結果から計算されている。もとになったのは1998年フランス大会から2014年ブラジル大会までの5大会分のグループリーグでの結果だ。今大会と同じく32チームが4チームずつAからHの8グループに分かれてリーグ戦を争い、それぞれの上位2チームがノックアウト方式のトーナメントに進む方式が採用されていた。
過去5大会に参加した32チームそれぞれの初戦を計算すると80試合(16試合×5大会)になる。この初戦に勝利したチーム数を調べると60チームにのぼる。「85%」は、この60チームからトーナメントに進出したのが51チームだったために導かれた数値(51/60)だ。つまり数値自体は間違いではない。
ただし補助線を引くと印象はがらりと変わる。初戦で勝利すればどのチームも決勝トーナメント進出に限りなく近づいたように見える85%の“トリック”が明らかになるのだ。
まず、大会の初戦で勝利した60チームを、直前のFIFAランキングを使い20位以内の強豪とその他に分ける。強豪には歴代の優勝国であるブラジル、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、アルゼンチンなどの他にもポルトガル、メキシコ、コロンビア、イングランドなどが含まれる。