南米のライバル、その大きな差とは?
コスタリカのゴールマウスを守るケイラー・ナバスは、この試合で7回ものシュートセーブを記録。ブラジルの放つシュートはことごとく彼の前に飛び、その姿はまさに守護神というものだった。
今大会、南米勢で勝利を挙げていたのはウルグアイのみ。前日には宿敵アルゼンチンが敗戦を喫し、ブラジルもまた2試合続けて勝利を逃すのではないかと多くの人が思ったはず。
そんな中で突入したアディショナルタイム、フィリペ・コウチーニョが試合を動かした。
マルセロからのクロスをフィルミーノがヘディングでつなぐと、ガブリエル・ジェズスが頭でゴール前に落とす。すると、そこへ走り込んだコウチーニョがケイラー・ナバスの股を抜いてゴール。ついに相手守護神の壁を突破した。
さらにその後に冒頭のネイマールによるゴールシーン。今大会ではもはや平均的ともいえる6分間のアディショナルタイムで2点を奪い、ついに勝利を手にした。
そして何よりも、彼らアタッカーが攻撃に力を発揮できる理由には、カゼミーロの存在がある。アンカーの役割を担うカゼミーロは、この試合でも7回のタックルを繰り出し、96本のパスを出して攻守にブラジルを支えた。
苦しい展開を強いられている南米勢において、2強と見られているブラジルとアルゼンチン。背番号10はネイマールとメッシという世界トップに数えられる名手が背負っている。
ただ、この2チームで大きく違うのは背番号10の立ち位置となる。アルゼンチンにとって、メッシは試合の行方の全てを握る存在。一方、ブラジルにとってのネイマールは決定的な仕事をする存在。
ブラジルにはアルゼンチンに欠けているチームを支え、試合を動かし、戦況を変えられる選手たちが揃う。その中でネイマールは最後の決定的な仕事をする存在として責任を背負っている。
(文:海老沢純一)
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