メッシ依存症以前に解決すべきだった問題点
そして、支配率ではアルゼンチンが57.5%と上回っているにもかかわらず、決定的なパスの本数ではアルゼンチンの6本に対してクロアチアは10本、シュート本数でも10本:14本でクロアチアが上回った。
つまり、クロアチアはより高い位置でボールを奪い、DFラインへの負担を軽減すると同時に素早いカウンターに転じることができた。逆にアルゼンチンは中盤が“ゆるゆる”だったため、DFラインに大きな負担が生じ、ボールを支配していても前線に効果的なパスがつながらない状況となっていた。
さらに、“策士”と謳われるはずのサンパオリ監督の交代策は、イグアイン、パボン、ディバラと前線のアタッカーを加えるのみ。根本的な改善を狙える策を持ち合わせていないことを露呈していた。
もっとも、この2試合で先発起用された守備的MFはマスチェラーノ、ビリア、ペレスの3人。そしてその全員が優勝候補と呼ばれるチームには不十分と言える低レベルなパフォーマンスに終始していた。初戦で途中出場したバネガを加えても、この中盤の人員ではメッシを“サポートする”ことは不可能。
“メッシ依存症”は結果的にそうなってしまうのであって、今回のアルゼンチンのより大きな問題は、中盤の人材難、そして策士のはずの監督の無策にある。
(文:海老沢純一)
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