フランス代表の新たなW杯最年少得点記録が誕生
「ポグバがゲレーロのボールを奪った…ジルーだ…! 跳ね返りにムバッペ! フランスにリードをもたらした! フランスのワールドカップ最年少ゴールスコアラー! 19歳のキリアン・ムバッペ!」
国際映像の実況アナウンサーは最高潮のテンションで絶叫していた。現地時間21日に行われたロシアワールドカップのグループC第2節で、キリアン・ムバッペがフランス代表の歴史を塗り替えた。
19歳183日でのゴールを決めた怪物は、ワールドカップにおけるフランス代表史上最年少得点者となった。ダビド・トレゼゲが1998年のフランスワールドカップで20歳にして当時の最年少記録を打ち立てた時、ムバッペはまだ産まれていなかった。
のちに世界を騒がせる巨大な才能が産声をあげたのは、トレゼゲがワールドカップで初めてのゴールを決めてから約半年後のことである。
ムバッペは激動の1年を過ごした。昨年夏に2億2200万ユーロ(約290億円)の買い取りオプションがついた契約でモナコからパリ・サンジェルマン(PSG)へ期限付き移籍し、その公式発表があった日にフランス代表での初ゴールを決めた。
PSGではリーグ・アン優勝に加えて、リーグカップとフランスカップの三冠を達成。リーグ戦では27試合に出場して13得点を挙げると、2年連続でリーグ・アンのベストイレブンと最優秀若手賞に2年連続で輝いた。
さらに、かつてミシェル・プラティニやジネディーヌ・ジダンも背負ったフランス代表の「10番」としてワールドカップ出場を果たす。飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさにムバッペのことだろう。
ロシアの地に乗り込んだ19歳の神童は、16日に行われたグループリーグ初戦のオーストラリア戦に先発出場して2-1の勝利に貢献すると、迎えた21日の第2戦・ペルー戦で決勝点となるゴールを奪って見せた。
34分、ポール・ポグバが高い位置でペルーのFWパオロ・ゲレーロからボールを奪うと、最終ラインの裏に抜け出したオリビエ・ジルーにスルーパスを通す。最前線で奮闘していたベテランFWが得意の左足で放ったシュートはDFに当たってコースが変わり、右サイドからゴール前に詰めていたムバッペのもとへ吸い寄せられていった。
フランスをグループリーグ突破に導いたことで今大会最年少のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出された19歳は、試合後の記者会見にも出席して「ボールがゴールネットに入った時の気持ち? 本当に嬉しかった。僕はいつも、どんな選手にとってもワールドカップでゴールを決めることが夢だと話してきた。僕の夢もそうだった。今はその夢が叶ったので、もっとゴールを決められるよう願っている」と喜びを語った。