厳戒態勢のセネガル代表【写真:編集部】
モスクワから電車で約3時間南に下ると、カルーガという街がある。ロシアワールドカップ真っ只中ではあるが、試合は1つも行われない。大会の熱狂から遠く離れたこの街でセネガル代表が合宿を張っている。街にはセネガルの国旗の色である赤・黄色・緑の旗が掲げられており、これが唯一サッカーを感じるくらいである。
カルーガの中心部からさらに南へ、車で30分かかる場所にセネガルの練習場がある。周りにはほとんど何もない。草木ばかりがある人里離れた原野の中にポツンとサッカー場がある。ワールドカップを機に新設し、大会後は地元クラブに譲渡するという。観客席は簡素な500席ほどのものしかないが、いずれ増設するのだろう。
ピッチだけがあるような質素なサッカー場だが、セキュリティだけは厳重だ。ピッチすぐ横には策があり、そこから10メートルほど離れた位置には塀が設置されている。柵と塀はぐるっと張り巡らせており、いわば二重の防御壁で厳重に管理している状態だ。のぞき見しようにもすき間がなく、さらに何人もの警備員が目を光らせている。
セネガルは徹底して情報漏えいを防いでいる。ポーランド戦の翌日、チームはカルーガに戻ったが、この日の練習は15分間だけの公開。ピッチにいたのはサブ組でサディオ・マネら主力組はホテルで休んでいた。ボール回しとランニングを見せただけ。途中、全員がピッチ中央で「ビスマルクポーズ」をして祈っているような場面以外は特筆すべきことはない。
ロシアワールドカップ初戦で、日本はコロンビアに勝利し、セネガルはポーランドに勝利した。24日にはエカテリンブルクで日本対セネガルが行われる。グループ突破の可能性もある大事な試合まで、セネガルは厳戒態勢で臨む。
(取材・文:植田路生【カルーガ】)
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