メッシとは違う頼られ方
だが、勝利したものの内容は著しくなかった。データサイト『Who Scored』によると、シュート数は10本:15本、支配率は45%:55%、パス成功率は72%:77%、決定的なパスの本数も7本:11本となるなど、あらゆる面でポルトガルはモロッコを下回った。
それでも勝ち点3を奪えるという状況にあるのが、ポルトガルなのである。C・ロナウドに頼りすぎているという面はあるかもしれないが、結果が出ている以上、そこに文句は言えないだろう。
頼りすぎているという意味ではアルゼンチン代表にも同じことが言える。16日に行われたグループリーグD組第1節のアイスランド戦では、これでもかというほどにメッシにボールが集まっていた。もはやそれは頼っているという域を越え、メッシ依存症にまでなっていた印象だ。
しかし両者で明らかに違うのはその頼り方である。まずC・ロナウドの場合は、攻撃の組み立て部分にあまり顔を出さない。もちろん下がってボールに触れることはあるが、基本的にはゴールに近い位置でボールが来るのは待っている。つまり求められているのはフィニッシュの役割であり、そこまでの過程はあくまで他の10人に任せているという感じだ。
一方メッシの場合、頼られている役割は試合そのものを作ることである。下がってボールを受ける回数も多く、そこから味方を動かす決定的なパスを出すタスクも担っている。もちろん自らシュートまで持ち込むことも厭わないのだが、その全てをメッシが遂行するのはかなりの重労働だ。その上、アンドレス・イニエスタやセルヒオ・ブスケツのようなメッシを大いに生かせる人物もいないため、なんでも自分でこなすしかないのである。そういった意味で、アイスランドとのゲームはまさに「メッシVSアイスランド」というような試合だった。