前半でなぜクアドラードを下げたのか?
これは奇跡なのか、幸運なのか。
日本代表は19日、ロシアワールドカップ初戦のコロンビア戦を2-1で制した。下馬評では日本が完全に下。一体何が起こったのか。2人の指揮官――西野朗とホセ・ペケルマンは、目まぐるしく打つ手を変え、試合を動かしていた。
3分、大迫勇也のシュートをGKオスピナが防ぎ、こぼれ球を香川真司がシュート。ボールは枠をとらえていた。MFカルロス・サンチェスは右手で弾いた。主審が笛を吹く。サンチェスはレッドカード、日本にPKを与える。日本の記者陣の不安をよそに香川は冷静にど真ん中に流し込んだ。先制、1-0。
1人多い日本に有利な展開が続く。ボールが回り、2点目を奪うチャンスもあった。31分、ペケルマンが早くも動く。日本が攻撃のキーマンの1人として警戒していたMFクアドラードを下げMFバリオスを投入する。ペケルマンは明かす。
「香川が我々にとって非常に厄介だった。だからバリオスを入れて、組織力を高めた。これが最善手だった」
コロンビアに流れが傾き、日本陣内でのプレーが増えた。39分、長友佑都がクリアミスし、高く上がったボールを長谷部誠とFWファルカオが競り合った。微妙な判定だったが、主審はFKを指示した。キンテーロの蹴ったボールは壁の下をすり抜け、川島永嗣は弾き出すことができなかった。同点、1-1。
日本にとって不安定な時間が続く。1人多い数的優位を活かせず、コロンビアペースのまま前半が終了。ペケルマンは若干の手応えを掴んでいた。「1人少ないのに生き残った。交代策は間違っていなかった」。
希望と焦燥が入り交じるなかハーフタイム。西野朗は何を修正したのか。