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コロンビア、智将でも止められなかった自滅。ハメスがもたらした機能不全という皮肉【ロシアW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

ハメス・ロドリゲス
ハメス・ロドリゲスのコンディション不良は誰の目にも明らかだった【写真:Getty Images】

 現地時間19日、日本代表はロシアワールドカップのグループリーグ初戦でコロンビア代表に2-1の勝利を収めた。

 試合の全てともいっていいプレーは、開始3分のカルロス・サンチェスの一発退場だった。これで10人になったコロンビアのバランスは音を立てて崩れ去った。

 一時はトップ下に入っていたフアン・キンテーロを1列下げてセントラルMFとしてジェフェルソン・レルマと組ませ、応急処置的にバランスを保とうとしたコロンビア。それでも1人少ないというディスアドバンテージは大きく、日本の侵攻を食い止めるために選手交代による修正を強いられた。

 そこでコロンビアのホセ・ペケルマン監督は31分、カウンターの急先鋒になりうるが守備面でリスクになりかねない右サイドのMFフアン・クアドラードを下げる決断を下し、中盤に守備力に長けるウィルマール・バリオスを配置する。キンテーロは右サイドに回った。

 結果的にこの交代策は奏功し、キンテーロの直接フリーキックによる同点弾に結びついた。この25歳のアタッカーは精度の高いキックでアクセントになり、運動量豊富に守備でも奮闘した。

 ところがペケルマン監督は、日本を“勝たなければいけない”相手だと考えたのか、59分にキンテーロを下げてハメス・ロドリゲスの投入に踏み切る。試合前のウォーミングアップで控え選手の輪に加わらず、明らかにコンディションの悪い背番号10に賭けざるをえなかった。

 やはり劣勢に立たされた、あわよくば敗戦もありうる状況で、大エースのハメスを使わずにみすみす敗れ去るということはできなかったのか。ピッチに立っても状態の悪さがうかがえるハメスは運動量が少なく、右サイドからコロンビアのチーム全体のバランスが崩れていった。

 ハメスの動きが緩慢なため、チームとして連動した守備を続けるにはそれに合わせていくしかない。結果として全体にコンディション不良のエースの影響が波及してしまった。

 さらに自滅を招いたのはカルロス・バッカの投入だ。かつてミランでともに戦った本田圭佑と同じタイミングでピッチに送り出されたストライカーは、ほとんど何も仕事をできずに試合終了の笛を聞いた。

 この交代によってハメスは左サイドへ、バッカは本職ではない右サイドに入った。不可解だったのは最終ラインの裏への飛び出しを得意とし、ゴール前で力を発揮するバッカを劣勢の状態でサイドに置いたことだ。

 コロンビアのチームにはコンディション不良の選手に加え、慣れないポジションでプレーするストライカータイプの選手が増えるという悪循環が起きた。最終的にバッカが投入された後に、日本の決勝ゴールにつながるコーナーキックが生まれている。

 開始3分での退場劇は誰にも予想できなかった展開で、日本も突然の出来事にうまく対応できていたとは言い難い。だが、それ以上にコロンビアが何かに縛られたように自滅していったことは、グループリーグで厳しい戦いが予想されていたサムライブルーにとって僥倖だったという他ない。

【了】

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