勝利の喜びに浸る感覚を思い出すことはできたが
英国には、チームが「すでにビーチにいる」という言い回しが存在する。シーズンの終盤にかけて、すでにタイトル獲得の可能性も降格の恐れも消えて目標のなくなったチームに用いられる。選手たちの体はピッチ上にあっても、意識はすでに別の場所へと飛んでおり、砂浜やサーフィンや日焼けのことばかり考えているというような意味だ。
6月12日にインスブルックで行われた試合の後半には、パラグアイの選手たちはほとんど「ビーチにいた」ようだった。日本代表との親善試合を戦ったグスタボ・モリニゴ監督のチームは、後半45分間になると夢の中を歩いていた。
その結果サムライブルーは4-2で試合を終え、ワールドカップに向けた最後の強化試合で士気を高めるためにどうしても必要だった結果を手にすることができた。
一方でイングランドのサッカー界には、「目の前に置かれた相手しか倒せない」という格言もある。日本代表は試合への関心を失った相手をどうにか打ち破ることができたが、散々だった数ヶ月間を経て、それこそが必要とされていた処方箋だった。
相手GKのお粗末な対応やオウンゴールにも助けられての白星で、西野朗監督のチームの頭上を覆う暗雲が完全に吹き飛ばされたわけではない。だが勝利は勝利だ。選手たちは少なくとも、6月19日に迎えるコロンビアとの決戦を前に、勝利の喜びに浸る感覚を思い出すことはできた。
同時に、過度に浮かれてしまうこともできない。ロシアで何らかのインパクトを残すための道が依然として険しいという事実に変わりはない。