日本に不可欠な存在
「今のプレミアリーグでは点を取る立場になかなかいられていない部分はあるけど、この大舞台で結果を出すかどうかっていうのはリーグで結果を出すのとはまた違うこと。ワールドカップで点を取るためには難しいことにチャレンジしていかないと。どんなボールにも反応しないといけないし、少ない決定機に顔を出せるようにして、最後のところで決め切ることを何度もイメージして試合にのぞみたいと思っています。
3大会連続ゴール? そこを目指さないFWはいない。それがチームの勝利につながりますからね」と岡崎は点取り屋としての本能を呼び覚ますべく、自分なりに懸命に努力を続けている様子だ。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督体制では出場時間が激減し、彼は昨年3月の最終予選・タイ戦(埼玉)から1年以上もゴールから遠ざかっている。そういう悔しさを含めて、足掛け10年超の代表キャリアで培ってきた全てのものを出し切ることが、今の岡崎に強く求められている。
今回は足の状態のこともあり、もしかすると最後まで出番が訪れない可能性も皆無ではない。そういう時こそ、ベテランFWはピッチ外からチームを力強く支える必要がある。8年前の中村俊輔や中村憲剛らの立ち振る舞いを、岡崎は今もよく覚えているだろう。彼らがいたからこそ、日本は1つにまとまり、下馬評を覆してベスト16に躍進できた。若手だった岡崎も伸び伸びとピッチでプレーできたはずだ。その経験を最大限生かしつつ、本田とともに大迫や武藤嘉紀らを支え、サポートし、自らの経験値を伝えていくことも重要な仕事と言っていい。
スタメンでもスーパーサブでも働けて、主役にも黒子にもなれるマルチな岡崎慎司の存在は西野ジャパンの大きな力になり得る。コロンビア戦、そして残り2戦で、泥臭くゴールを追い求める求道者の復活に期待を込めて待ちたい。
(取材・文:元川悦子【サランスク】)
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