アザールの仕掛けとデ・ブルイネの閃き
前半45分を終え、ベルギーもまた苦戦する強国の1つとなるかと思われた。
ハームタイムを迎えた時点でのスタッツを見ると、ボール支配率はベルギーが61/9%、パナマが38.1%、キーとなるパスは8本:2本、枠内シュートの数は3本:0本と上回りながらも決定的なチャンスは生み出せていなかった。
しかし、ドリース・メルテンスのプレーがその流れを変えた。後半開始直後の47分、メルテンスが入れたクロスをパナマのDFロマン・トーレスがヘディングでクリアするも、ボールは中途半端に流れる。これをエデン・アザールが頭でつなぐと、落ちてきたボールをメルテンスがボレーで合わせる。
このゴールで呪縛から解き放たれたベルギーは、今大会屈指の能力を持つ選手たちがその力を発揮し始める。
69分にはアザールの仕掛けからデ・ブルイネが蹴り込んだアウトサイドのクロスにルカクが頭で合わせて追加点。75分にはアザールが自陣からドリブルで運びスルーパスを送ると、反応したルカクが自身2点目となるゴールを決めて3-0。力の差を見せつけて勝ち点3を手にした。
後半、1点リード後のベルギーで特に目立っていたのは、デ・ブルイネとアザールの存在感だった。
通常よりも下がり目の位置でプレーしたデ・ブルイネは、73本のパス中10本のロングパスを出すなど長短のパスで攻撃のリズムを作り、6本のクロスと4本の決定的なパスを記録した。
そして、メルテンスとともに2シャドーの1角としてプレーしたアザールはドリブル突破を7回仕掛け、3回の決定機を生み出した。2点目のシーンはアザールのドリブルによって相手の守備ブロックを崩し、デ・ブルイネの閃きによって得点が生まれた。
後半のベルギーは、このアザールとデ・ブルイネのコンビが試合を支配し、FIFAランクトップ3に位置するチームでは最初の勝利を挙げることとなった。
しかし、この試合で大会前の懸念が払拭されたわけではなく、むしろ前半に目を向けると不安が募るものであったことも事実だった。