世紀の負けず嫌い「カルピート」が雪辱の舞台へ
ハメスの恩師にあたる前出のアルマンド監督の奥さんは、ハメスが母親に連れられてクラブの事務所にやって来た日のことを覚えているという。
「カルビート!」
それが第一印象である。「坊主頭の可愛い子ちゃん」という意味である。「本当にサッカーができる子なのかしら」と思ったという。
だが「カルビート」は今やコロンビアの英雄である。彼の一挙手一投足がコロンビアのメディアを席巻している。前大会のベスト8を上回る成績への期待が彼の肩にのしかかっている。
今年3月23日に行われたフランスとの親善試合でコロンビアは3-2の逆転勝利を収めた。ハメスは61分、右サイドのペナルティエリア付近でボールを受けると、中央で走り込んでいたファルカオに絶妙なパスを通し、同点ゴールを演出した。2人のエースの息もぴったりだ。
その日、ハメスは興奮覚めやらぬうちにツイートしている。
「格上のチームに美しく勝ち、信頼を手に入れた。ワールドカップの前に良い結果を残せた」
アルマンド監督は、こう付け加えた。
「ハメスはものすごい負けず嫌いなんだ。プレイステーションで負けただけでも半端なく悔しがる」
ロシアの地で、ブラジルワールドカップの悔しさを晴らす準備は万端だ。
(取材・文:北澤豊雄)
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