低調なケディラ。メキシコが執拗に突いた隙
しかし、そうした前提を差し引いたとしても、コンディションの調整に失敗したのではないかと思えるほどに、ドイツ代表の動きは重かった。攻撃時に各々の選手たちの判断は遅く、球離れも悪い。試合後にレーブ監督は「コンビネーションの確実性が無かった」と振り返った。
また、指揮官は「我々は試合中に生半可に前へ向かい、何度もボールを失った」と度重なるボールロストにも言及。23分にはフンメルスの不用意なロストから、27分にはエジルの軽い横パスをかっさらわれ、メキシコの鋭いカウンターの脅威にさらされた。
そして35分、またもエリアの手前でケディラが簡単にボールを失い、カウンターを喰らう。ケディラは素早く起き上がって奪い返しに行こうともしない。ここはエジルが懸命に戻ったが、ゴール前でロザロに交わされ、とうとうメキシコに先制弾を許す。キミッヒが上がった裏のスペースを、メキシコは執拗に突いてきた。
クロースは言う。
「多くのボールを失っては、ゴールを決めるのは難しい」
いくら敵陣に人数を掛け、サイドからのクロスなどでゴールに迫ろうとも、軽率なプレーが続いては、攻撃のチャンスを失うばかりか、簡単にカウンターを許して失点の確率も上がってしまう。そしてまた攻撃のやり直し。非効率の極みである。
後半に入ると、やや疲れの見え始めたメキシコだったが、57分、78分といった場面のように、隙あらばカウンターに出る足を緩めることはない。
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