不用意なプレーで何度もピンチに
王者としての余裕が、苦難の道を招いたのか。18日、グループFの初戦をメキシコ代表と戦ったドイツ代表。試合が始まると、プラッテンハートとキミッヒの両SBが高い位置を取り、敵陣に入ってポゼッションを高めていく。主に右サイドのキミッヒを起点として、メキシコの守備陣を攻略しようとした。
メキシコ戦を前にした会見で、ドラクスラーは“初戦の重要性”について次のように語っていた。
「トーナメントで良い入りをすることは、常に重要なことだ。僕たちは絶対に勝利でビッグトーナメントを始めたいと思っている。メキシコはコレクティブで強く危険なチームだ。僕たちは過小評価をするべきではない。だけど、自分たちのクオリティを試合に持ち込めば、試合に勝つと確信しているよ」
このようにメキシコ代表を十分に警戒して試合に臨んだはずだったが、ドラクスラーの言葉とは裏腹に、ドイツ代表は、不用意なプレーで何度もピンチを招いた。
早くも8分、ペナルティエリアの手前でケディラが簡単にボールを失い、カウンターを喰らう。ボールロストに備えたリスク管理は、まるで徹底されていなかった。中盤で奪い返しに行くクロースの足取りは重く、ベラに中央ですんなりドリブルを許し、エリアの手前でようやくフンメルスが潰した。
同じくメキシコ戦を前にした会見で、ヨハヒム・レーブ監督は「全ての選手のコンディションが整っている」と述べていたが、本当にドイツ代表の選手たちの状態は万全だったのだろうか。序盤からメキシコ代表の正確で細かいパスワーク、アグレッシブで素早い寄せに手こずった。
もちろん片や初戦を7試合ある内の1試合目と捉えるチームであり、片や決勝トーナメント進出のため、初戦に持てる力のほとんどを注いでくるチームである。力の入れ具合に、どうしても差が出てしまうのは否めないだろう。