引くのではなく、あえて前から行く理由
原口はもともと西野ジャパンの外せないキーマン。乾はパラグアイ戦で2得点し、最近の取材時の対応から見ると、主力組で練習していることがわかる。トップ下は本田圭佑と香川の争いだったが、試合でのパフォーマンスおよび乾とのコンビネーションを考えると香川で間違いない。
攻撃的に見えるこのユニットだが、実は守備を重視している。コロンビア相手にただ引くのではなく、ある程度前からもプレスをかけていく。理由は2つ。1つは、コロンビアの特徴。ハメス・ロドリゲス、クアドラード、バッカ、ファルカオと強烈な攻撃陣を擁するが、彼ら相手にドン引きしてもいずれ決壊する。個の力で上回る相手だけに自陣で何度も自由に仕掛けられては、いずれやられてしまう。
それよりは、まずは彼らの攻撃の芽を摘むこと。コロンビアの攻撃においてスイッチを入れるのはボランチの2人、アギラールとカルロス・サンチェスだ。彼らが左右にパスを散りばめることで攻撃陣が活きてくる。そこをいかに潰せるかが重要だ。そのためには前からプレッシングしていかなければならない。
2つめは、選手たちの自信。乾が「たしかに相手が上だが、チャンスはあると思っている」と語るように、日本代表の選手たちは自分たちがそこまで格下だとは思っていない。コロンビアは強いが、対策できないほどではないという認識だ。
つまり、コロンビアにやりたいようにやらせ、それを耐えしのぐのではなく、コロンビアにやりたいことをさせない。そのために前から守備をはめていく戦術であり、その担い手としての香川・乾ユニットなのである。
彼らは、相手を待ち構えての守備は得意ではない。だが、自分から仕掛けていくプレッシングやパスコースの分断は上手い。これは本田や宇佐美貴史にはできないことである。
戦い方は決まった。コロンビア戦は90分間のハイプレスだ。そうでなければ香川・乾を使う意味はない。コロンビアをいかに分断できるか、戦術的な見どころが多い試合になるだろう。
もちろん懸念点がないわけではない。