「7番=柴崎」を印象付ける大会に
2014年9月のベネズエラ戦(日産)の頃は報道陣に話しかけられても素通りしたり、人の目を見て話をしなかったりしたが、代表復帰した昨年8月の最終予選・オーストラリア戦(埼玉)以降は立ち振る舞いが自信に満ちあふれ、堂々と自分の考えを口にするようになった。
スペインでオープンマインドな国民性に触れたことで、柴崎自身も考えるところがあったのかもしれない。サッカーは1人でやるものではないから、周りの風通しをよくするような空気を中盤の選手が醸し出すことはやはり大事。そういう意味でも彼は司令塔としての風格を備えつつあると言っても過言ではない。
ロシアで柴崎が背負う7番は、かつて中田英寿、遠藤という偉大なゲームメーカーがつけた特別な番号だ。子供の頃から異彩を放ち、「将来は日本代表の司令塔になる選手」と10代の頃から言われ続けてきた彼は、代表に入ってからも偉大な先輩たちと比較され、プレッシャーに苦しんだことだろう。
代表定着もなかなか叶わず、初キャップから4年の月日が経過したが、ここへきてようやくその背番号が似合う男になってきた。だからこそ、今回のワールドカップは「7番=柴崎」という強烈な印象を残すべき大会。青森山田高校3年だった8年前、実際に南アへ足を運んでその目に焼き付けた日本代表の勇敢な戦いを、今度は柴崎が自ら実践する番なのだ。
「ここで勝つか負けるかは、日本サッカーにとってもそうですし、僕のサッカー人生にとってもそうですけど、大きく変わってくる部分があると思う。それほど大きな大会なのは自覚しています」と本人も静かな闘志をのぞかせた。その千載一遇のチャンスをモノにできるか否か。いずれにしても、中盤で強い輝きを放つ柴崎岳のパフォーマンスをコロンビア戦でぜひとも見せてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【カザン】)
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