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香川真司の真の特徴とは? 日本の弱点であり長所。信じるべき“カオス”が生む可能性【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

4年前のコロンビア戦で見せた“カオス的”コンビネーション

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4年前のコロンビア戦、日本の攻撃は無秩序だが迫力と不思議な魅力を備えていた【写真:Getty Images】

 ブラジルワールドカップのコロンビア戦は1-4の大敗として記憶されている。確かに大敗には違いないのだが、同じスコアで敗れた2006年ドイツワールドカップのブラジル戦とはかなり試合内容が違う。

 大久保嘉人をCFに起用した日本は、それまでにないコンビネーションを見せていた。果敢に攻め、素早さと巧技でコロンビア陣内をかき回していた。点差が開いたのはカウンターへの備えをしていなかったからで、攻撃時にボール周辺に人数をかけすぎたともいえる。

 コロンビア戦の日本の攻撃は、それまでのアルベルト・ザッケローニ監督下で行われてきたものとも違っていて、大久保が引き起こしたカオスに本田や香川らが巻き込まれていった結果だったと思う。無秩序だが迫力と不思議な魅力に満ちていた。狭いエリアでの即興的なコンビネーションには自分たちも混乱しながら敵をさらに混乱させる力があった。

 ただ、日本人は自分たちの力を信じていなかったのだろう。あるいは大敗を反省しすぎたのかもしれない。コロンビア戦のカオス攻撃に可能性を感じた人は少なかったようだ。

 スペインは2014年に長く世界を支配したティキ・タカを打ち破られ、グループリーグで敗退した。得意な狭いエリアの攻撃を潰され、広い場所を逆襲された。ただ、彼らは自分たちの可能性を信じていたようだ。狭く攻撃して狭いまま封鎖する攻守のバランスを見出し、新しい強力なティキ・タカでロシアワールドカップに臨んでいる。

 香川を軸とした日本らしいコンビネーションには守備の裏付けがない。連係自体もスペインのように3人が絡むものではなく、香川と乾の間にあるだけだ。現時点でこれを拡大して中心に据えるのは現実的ではないし、偶発的に発生しているだけだ。

 ただ、頼みの綱は結局これなのだ。振り出しに戻ったような状況ではあるが、日本サッカーの良さを発揮して何かを起こすことを期待したい。

(文:西部謙司)

【了】

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