箱庭的名手
長い距離を疾走する、豪快なロングシュートを叩き込むというような迫力のあるスケールの大きなプレーは少ない。狭いエリアで細工の効いたプレーをするときに光るプレーヤーなのだ。箱庭的な名手はその点でも日本的といえるかもしれない。試合のトーンが大味になると消えてしまうこともある。
日本代表の10番は、日本サッカーの長所が凝縮されている半面、弱点もそのまま持っているわけだ。
狭い場所をすり抜けていく香川には、感覚を共有できるパートナーが必要だと思う。代表では長く本田圭佑とバイタルエリアを分け合ってきた。本田は香川とは対照的にコントクトプレーの強さやミドルシュートのパワーなど、日本人には少ないタイプのアタッカーである。柔と剛の組み合わせはそれなりに機能していた。
ただ、香川のテンポとアイデアを最大限に生かすには同じタイプの選手のほうが相性は良いだろう。乾貴士はセレッソ大阪時代のチームメートだったが、代表でようやく見つけたパートナーになるかもしれない。
パラグアイ戦で2人がみせたコンビネーションは2人が1人のような、ぴったりと息の合ったものだった。