チッチ就任で力は4年前を上回る
【ブラジル代表】
FIFAランキング:2位(2018年6月)
監督:チッチ(2016年~)
最高成績:優勝(1958年スウェーデン大会、1962年チリ大会、1970年メキシコ大会、1994年アメリカ大会、2002年日韓大会)
南米予選1位通過
ブラジルが4年前に負った傷は未だ癒えていない。自国開催となった2014ワールドカップ・ブラジル大会の準決勝で、ドイツ相手に1-7というスコアで敗北したことは、世界に大きな衝撃を与えるとともに、王国としてのプライドを完全に崩されたゲームとなってしまった。
ドイツに負わされた傷は深く、ロシアワールドカップ南米予選でも苦戦を強いられた。ドゥンガ監督の下、ブラジルは一時プレーオフ圏外の6位にまで沈んでいたのである。「ブラジルがワールドカップ出場を逃すかもしれない」。そんな声も挙がってくる中、セレソンを復活の道へと導いたのが、名将・チッチである。
ブラジルの名門・コリンチャンスをクラブ世界一に輝かせるなど確かな手腕を持つ同指揮官は、就任後すぐにチームを奮い立たせた。試合ごとにキャプテンを変える独特なマネージメントを代表チームにおいても実施。それまで主将という重圧に押し付けられ、本来の実力が発揮できていなかったネイマールも、チッチ就任後はその圧力を跳ね除け、確実に力を取り戻していた。
「チッチがセレソンを変えてくれた」。こう話すのはエースのネイマール。選手からの信頼も得たチッチは、監督就任から予選最終節までで12勝2分1敗という圧巻の成績を収め、結果的に世界最速でワールドカップ行きをもたらしたのである。そのうちの9試合を実に無失点で乗り切るなど、自慢の攻撃力に加え堅守という武器も植えつけた。まさにブラジルは、4年前よりレベルアップした姿で、ワールドカップという舞台に帰ってきたと言える。
唯一懸念点だったネイマールのコンディション不良という問題も、本大会前の親善試合で完全に解消された。3日に行われたクロアチア戦、続く10日に行われたオーストリア戦でもゴールを決めるなど本大会に向けてエースの調子は上がってきている。前線に豊富なタレントを揃えるため、ネイマール不在でも乗り切れる力は持っているブラジルだが、背番号10が存在することにより、さらに強くなる、というのが今のセレソンの状態だ。