1年8ヶ月遠ざかるゴールにも期待
「ずっと出てた選手がいないってことは、能力的にも僕にとってはチャンスになる」と原口本人も語気を強め、突破口を開くための策を練っている。右の縦関係を形成すると見られる酒井宏樹との相性も悪くないだけに、2人で連係しながら局面を打開するプレーが見せられるのではないか。
いずれにしても、右サイドでグイグイと前へ押し込むような推進力を出せれば、屈強なDFを並べるコロンビア守備陣にもどこかで綻びが生じるかもしれない。それを作り出すことが彼らには強く求められている。
チャンスメイクのみならず、サイドアタッカーには得点という目に見える結果も必要だ。それはパラグアイ戦で2ゴールを奪った乾貴士も実証した点だ。原口自身もアジア最終予選序盤に4試合連続ゴールを挙げ、日本の救世主となったが、そこから1年8ヶ月もゴールから遠ざかっている。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督体制ではハードワークや献身的な守備がより強く求められたことも、長い間結果を残せなかった一因と言われる。こうした厳しい現実をしっかりと受け止めたうえで、本人は苦しい状態から抜け出そうと躍起になっている。出口のないトンネルはない。いつか必ず光明を見出せるはずだ。そのゴールがコロンビア戦で出れば最高のシナリオに違いない。
西野体制発足後の日本は3試合続けて相手に先制点を奪われているが、ワールドカップという短期決戦ではそのミスが致命傷になる。今回こそ日本が先手を取らなければならない。
その重要性をしっかりと自覚したうえで、背番号8はゴールに突き進む迫力とスピードを前面に押し出すしかない。無尽蔵のエネルギーでスプリントを繰り返すこの男の働きが日本の命運を大きく左右するのは間違いない。
(取材・文:元川悦子【カザン】)
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