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代表 6年前

メッシ依存度は重症。世界最高をも封じたアイスランドの“真の自分たちのサッカー”【ロシアW杯】

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

GKの好プレーを引き出した集中力

メッシ
メッシのPKはアイスランドの守護神ハルドールソンに止められた【写真:Getty Images】

 アルゼンチンがチームとして機能していない以上、アイスランドはメッシへの対応に人数を割くことができる。スーパープレーでのゴールは運次第なため、自分たちのやるべきことを遂行すればメッシをも封じることができるという経験は今後の戦いに大きな自信となるだろう。

 日本サッカー界では、「自分たちのサッカー」という言葉が色々な意味で“キーワード”となっているが、ベスト8に躍進したEUROと今回のアルゼンチン戦でアイスランドが見せたのは、まさに「自分たちのサッカー」だった。

 それは、理想を追い求めるのではなく、自分たちにどういったサッカーが最適なのか、勝ち点を得るためにはどう戦えばいいのかをしっかりと理解した上で完璧に遂行するということ。

 この試合では、4-4-2の3つのラインが乱れることなくコンパクトに保たれ、アルゼンチンの攻撃陣にプレッシャーをかけた。守備面のスタッツを見ると、タックル数はアルゼンチンの13回に対して20回を記録し、ファウルの数でも相手の10回に対して15回と上回ったものの、選手個人の回数ではアルゼンチンのハビエル・マスチェラーノが6回でトップだった。

 この試合のMOMにはメッシのPKをストップしたアイスランドのGKハンネス・ソール・ハルドールソンが選出された。チーム全体が高い集中力を持ってクリーンな守備を続けていれば、ハルドールソンも集中してゴールを守ることができる。

 そして、パスの数では3倍以上の差をつけられながらも、ロングパスの数では57本でアルゼンチンの35本を大きく上回るなど、ボールを奪えば一気にカウンターでゴールチャンスを作り出した。屈強な守備だけではなく、このカウンターへの恐怖心がアルゼンチンのパフォーマンスを鈍らせたとも考えられる。

 アイスランドにはこの先、ナイジェリア、クロアチアとの対戦が待っている。2年前、フランスでのEUROで旋風を巻き起こしたチームが失われることなく、ロシアの地にたどり着いた。

 初出場の小国とはいえ、ギルフィ・シグルズソンを中心に主にプレミアリーグで活躍する経験豊富な選手が顔を揃えているだけに、アイスランドが再び世界中を驚かせる可能性は十分に秘めている。

(文:海老沢純一)

【了】

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