準優勝となった4年前から一切の上積みなし
世界一の名手を擁し、常に優勝候補に挙げられるアルゼンチン。歴史的にその時代を象徴する優れたテクニックを持つアタッカーを輩出し、世界中から期待とプレッシャーをかけられる強豪国だ。
対するは、史上初めて欧州予選を突破し、本大会に出場したアイスランド。大柄で屈強な男たちが並び、2016年のEUROでは魂のこもったプレーで世界中を沸かせた小国である。
全てが対照的な両国の一戦は、内容も対照的なものとなったが、その結果は引き分けとなった。
アルゼンチンは、リオネル・メッシを筆頭に、セルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディ・マリア、ゴンサロ・イングアイン、パウロ・ディバラと他国が羨むようなアタッカーを揃えている。
ただし、ホルヘ・サンパオリ監督は今も最適解を見いだせていないのだろう。アグエロによる19分の先制点の場面や、メッシが随所で見せるプレーは個人能力の高さを発揮したものだが、チームとして洗練された攻撃はなかった。
4年前、ブラジル大会で決勝へと駒を進めた際にも、メッシは平均走行距離が10kmにも満たないほど走らないことが注目されたが、その分ディ・マリアが攻守に献身的なプレーで補完し、不安視されていた守備は安定感を見せるなどチームとして機能していた。
当時、メッシは最悪のコンディションだったというが、チームのサポートによって攻撃に全ての力を注ぐことができ、グループリーグでは3試合連続得点、スイスとの決勝トーナメント1回戦では延長戦後半にドリブル突破からディ・マリアの得点をアシストして4試合連続MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選出される活躍を見せていた。
しかし、4年を経て再び立ったワールドカップの舞台では、前回大会からの上積みは一切なく、まもなく31歳を迎えるメッシへの依存度がより高くなっていた。