VAR適用の明確な基準とは
ここで今大会から導入されている「ビデオアシスタントレフェリー(VAR)」が発動する。リスドンのタックルがファウルで「フランスにPKが与えられるべきだったのではないか」という点を確認するためクーニャ主審は自らの笛でプレーを止めた。
VARに関しては、適用されるシチュエーションが厳密に定められている。基準は以下の通りだ。
1:ゴールになるか・ならないか
2:PKになるか・ならないか
3:一発レッドカードに相当するか・しないか
4:警告や退場における人違い
これら4つのシチュエーションにおいて「はっきりとした明白な間違い」あるいは、ボールのないところでの暴力行為など「見逃された重大な事象」のみがVARから主審に伝えられ、最終的な判定をサポートする。
今回の場合、適用されたのは「2」の「PKになるか・ならないか」で、スタジアムの大型ビジョンにも「PENALTY REVIEW」の表示とともに、検証に用いられた映像が流された。
最終的にはリスドンはスライディングタックルによってボールに触れていなかったと判定された。ペナルティエリア内で先にグリーズマンがボールを前につついた直後、リスドンのタックルがフランスのエースの足に入った。
この判定はクーニャ主審自らピッチ脇で映像を確認し、VARの援助を受けて下された。そしてリスドンにはイエローカードが提示され、PKはグリーズマン自らが決めてフランスが欲しくてたまらなかった先制点を奪った。
VARは数々のリーグや国際大会で試験導入され、システムの検証がなされたうえでワールドカップに採用された。これまではVARを要請する基準が曖昧になったり、主審の要請がなければ実施されなかったり、多くの課題を残していたが、ワールドカップでは誰もが納得するタイミングで発動されているように感じる。
今大会はモスクワの映像センターを拠点に各地のスタジアムでのVARが提供される形で、正確を期すためにVAR要員としてメインとサブ合わせて4人の審判が映像を確認している。そしてVARがあくまで主審の判定をサポートするものであるというスタンスを貫いていることも大きい。
ロシアワールドカップで初めてのVARは15日、スペインのFWジエゴ・コスタがポルトガル戦でゴールした際に、直前のプレーがファウルだったのではないか問われた場面だった。つまり先述した基準の「1」が適用された形になる。