豪州がフランスに大健闘。試合の流れを変えたのは…
ロシアワールドカップは、初日から今まで「ハズレ」と言える試合が1つもない。これだけエキサイティングかつ多彩な試合展開を見せられると、寝るタイミングすら忘れてしまう。
現地時間16日に行われたグループCの初戦、フランス代表対オーストラリア代表も例に漏れず目を離す隙のない見どころたっぷりのゲームだった。
フランスは目標が優勝ということもあり、初戦を落とすわけにはいかない。やはり序盤から攻勢に出て、アントワーヌ・グリーズマン、キリアン・ムバッペ、ウスマンヌ・デンベレの3トップに早めにボールを渡してゴールに向かっていく。
試合冒頭だけでムバッペのフィニッシュ、ポグバのフリーキックなどいくつか見せ場はあったが、4-4-2のコンパクトなブロックを敷いてくる相手に攻めあぐねた。特に自慢の3トップがピリッとしない。
試合開始時はムバッペを頂点に、右グリーズマン、左デンベレという並びだったが、彼らは流れの中で自由に動き回りポジションを入れ替えていく。この自由奔放さが逆にチーム全体の停滞を招いていく。
一方、オーストラリアにとってはフランスに主導権を握られることは織り込み済みだっただろう。グループ内で最もFIFAランキングが低く、2月にベルト・ファン・マルワイク監督が就任したばかりのアジア代表は、フランスに「負けないこと」を重視して試合に入ったはずだ。
前半は18分にセットプレーからフランスの守護神ウーゴ・ロリスにセーブを強いたシーンが唯一のチャンスだった。オーストラリアは前半シュート1本のみだった。とはいえフランスも5本しかシュートを放てず、やはり煮え切らない展開というのは選手たちの様子からも見てとれた。
後半に入っても鍔迫り合いが続くと見られたが、試合の流れは1つのプレーによって大きく変わっていく。それは54分に起きた。中盤でオーストラリアのプレッシャーをかわしたフランスは、エンゴロ・カンテからポグバへ展開する。
フリーで前を向いたポグバは、3トップの動き出しを確認してオーストラリアの右サイドバックと右センターバックの間に素早くスルーパスを入れる。このボールに対してはグリーズマンとムバッペが反応した。
一気に守備ブロックを破られたオーストラリアは、慌てて対応せざるをえなかった。左サイドの大外、自分の背中側から猛スピードで走りこんできたグリーズマンにボールを渡すまいと、オーストラリアの右サイドバック、ジョシュ・リスドンが懸命に足を伸ばした。
このスライディングタックルによってグリーズマンは倒れたが、ウルグアイ人のアンドレス・クーニャ主審は一旦流し、こぼれたボールをキャッチしたGKマット・ライアンからプレーは続いた。