19歳の怪物が世界最高への階段をのぼるか
ノルマ:ベスト4
目標:優勝
フランスが掲げる目標はもちろん優勝。それ以外にない。2年前のEUROで準優勝に終わった悔しさを晴らすには、頂点に立つほかないのだ。
戦力値は2年前よりも確実にアップしている。EURO以降に台頭した若い選手たち、例えばデンベレやトリソ、プレスネル・キンペンベ、バンジャマン・パバール、バンジャマン・メンディといったタレントが競争を勝ち抜いてきた。
予選は4-2-3-1をメインに戦い抜いたが、デシャン監督はワールドカップ本大会で4-3-3をメインに、中盤をひし形にした2トップも併用していくと見られる。
前線は様々な組み合わせが考えられる。グリーズマンを軸に、本格派ストライカーのオリビエ・ジルーと突貫小僧ムバッペを並べる形や、突破力のあるムバッペとデンベレを両サイドに配置する形が今大会の基本になる。9日のアメリカ戦で頭を怪我したジルーも、初戦から問題なく出場できるようだ。
さらには2列目なら役割を問わないレフティーのナビル・フェキル、ドリブルで違いを作れるフロリアン・トバンやトマ・ルマールといったジョーカーも控え、多彩な3トップや2トップの組み合わせが考えられる。
相手や状況に応じたアタッカーの組み合わせの中で、得点源として安定した活躍が見込めるグリーズマン以上に注目したいのがムバッペだ。19歳の怪物FWは、パリ・サンジェルマンでさらにスケールの大きな選手に成長した。
シュート技術は抜群、スピードは驚異的で、ドリブルも中途半端な対応では止められない。判断の正確さと早さも19歳のそれとは思えず、ゴールもアシストも自在に決めていく。ムバッペが期待通りの活躍を披露できれば、チームとともに真のワールドクラスへと飛躍していくだろう。
デシャン監督は自らが経験した1998年フランス大会の優勝以来となる戴冠を実現させられるだろうか。16日のオーストラリアとの初戦に向けて「優勝について考える前に、多くのことがある。まずはグループリーグの初戦に勝つこと。フランスの歴史を見れば、最近(200年日韓大会以降)で我々がベスト16に進んだのは2度しかない。この事実がワールドカップの競争の激しさを証明している。それは非常に高いレベルにある。大きな決意と熱意を持って出発しなければならないが、その前に必要なのは謙虚さだ」と述べた。
平均年齢26歳と若いフランス代表は、驕ることなく勝利を積み重ねられるか。まずは初戦で自信と実力の一端を示し、他国に畏れを刻むところから頂点を極めるための戦いが始まる。
(文:編集部)