経験豊富な選手はチーへの還元を
同等以上の気構えで試合に入ったうえで、相手を自由にやらせないこと。それをいかに徹底していくのかを考えなければならない。チーム最年長のGK川島永嗣もそのことの重要性を強調していた。
「このところはこぼれ球が失点につながっているので、絶対に誰かがボールに行くこともそうだし、体を張る時もどうやって張るかを詰めていかないといけない。戦術的な部分は大事ですけど。最後はやっぱりみんなで声をかけあって体を張ること。そういうところだと思います」と過去2回のワールドカップを戦ってきた男はしみじみとそうコメントしていた。
そういうサッカーの原点を忘れてしまったら、コロンビアへのリベンジは果たせない。一瞬のスキも作らないような研ぎ澄まされた守備組織を構築すること。そう仕向けるべく、絶対的守護神である川島にはチーム全体をけん引してもらう必要があるだろう。
彼と酒井宏樹には、同じフランスリーグでファルカオと対峙したことがあるし、吉田もダビンソン・サンチェスを知っている。もちろん本田や長友はサパタの特徴をよく理解している。こうした経験豊富な面々の経験値を凝縮させることも、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督とそのスタッフを解任した今の日本には重要なことだ。
キャプテン・長谷部誠も「監督もワールドカップは初めてだし、選手の中にもそういう選手がいる。僕ら経験のある選手が伝えていかなければならないことはある」と語っていた。そういう作業がカザンに入ってからより活発化している印象を受けるのは前向きな要素と言っていい。
残された3日の準備期間で、西野監督はリスタートの攻撃、全体的な戦術を再徹底するということだが、本当に時間がないだけに最低限の約束事はキッチリとすり合わせておくべき。特にリスタートの守備は重要性が高いポイント。本番で悔いを残さないためにも、ピッチ外でもその作業を可能な限り、行っておかなければならない。
(取材・文:元川悦子【カザン】)
【了】