ショートからのロング。判断力の光ったブスケッツ
そうした中で始まった試合は、開始から大きな動きを見せた。ポルトガルは、ロナウドとゲデスを2トップとした4-4-2の布陣でスペインに対して一気に圧力をかける。すると、スペインの右SBナチョがロナウドを倒してPK。わずか4分で先制点を奪った。
その後、ポルトガルは全体をコンパクトに保ち、中盤でプレスを仕掛けてカウンターを狙う戦略を見せた。序盤はこのプランも効果を発揮し、前半20分までのパス本数ではポルトガルの87本に対して、スペインは171本とおよそ倍の本数とされながらも、決定的なパスはゼロ、シュート数でも3本:1本とペースを掴みつつあった。
しかし、この状況を打開したのはMFセルヒオ・ブスケッツだった。ショートパスでの崩しが効果的ではないと悟ったブスケッツは、ピケがクリアしたボールを拾うと、前線へ一気にロングパスを送る。このボールを受けたジエゴ・コスタがDFペペをいなし、フォンテとセドリックという2人のDFからの寄せもかわしてゴールをゲット。
バルセロナにおいてもチームの攻撃プランを操るブスケッツの判断によって、試合は振り出しに戻った。
さらにスペインは、イスコが124本のパスを繰り出しながら94.7%という成功率を叩き出して支配力の中心となると、ダビド・シルバもポルトガルの狭い守備ブロックをいとも簡単に抜け出すなど、その力を発揮した。
このハイレベルな選手が集う一戦で、それでも別格の存在感を示したのは、クリスティアーノ・ロナウドだった。