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大迫勇也の価値と課題。『2秒』を生み出す図抜けた能力、決定機で揺れないゴールネット【西部の目/ロシアW杯】

 最前線で身体を張り、適切な位置取りと技術でボールを収める。ポストプレーで大迫勇也の右に出る者は日本にいない。彼が作るタメがチームを助けている。しかし、この万能型FWの課題として決定力が挙げられる。勝負どころでゴールを奪うことができれば、大迫はさらに絶対的な存在となる。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

背負って受ける能力、接近戦での技術

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大迫勇也はポストプレーが図抜けて上手い【写真:Getty Images】

 相手を背負ってパスを受ける。ターゲットプレー、ポストプレーと呼ばれるFW必須の技術だが、大迫勇也は図抜けてこれが上手い。

 足腰が強そうでバランスが良く、細かいステップも踏める。何と言っても相手CBとのコンタクトプレーの技術、駆け引きが際立つ。ボールが到達する前に体を当てて空間を確保する、低く潜り込んでからカチ上げるようにブロックする、そうかと思えば相手のパワーに逆らわずに受け流しながらボールをコントロールする。接近戦でのテクニックが多彩だ。

 かつてヴェルディ川崎(当時)や鹿島アントラーズで活躍したビスマルクも接近戦の名手だった。ビスマルクはMFなので、相手を背負うというより半身の攻防が多かったのだが、肘を張ってそこから中へ相手を入れない体勢を作ってボールを確保していた。

 ある日、取材でビスマルクと1対1をやるはめになった。撮影用の1対1なので、そんなに激しくはやらないが、そのときにビスマルクの腕のバリアに硬軟あることに気づいた。防御の中へ強引に入って行こうとすると、スッと腕を“抜いて”しまうのだ。こちらは暖簾に腕押しとなってバランスを崩し、その間にビスマルクは間合いを取り直す。

 大迫のターゲットプレーも硬軟を上手く使い分けていて、フィジカルコンタクトもパワーがすべてではないことがわかる。

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