2トップの手本のような関係性
2トップは単純にいえば、相手ゴールの近くに点取り屋が2人いることになる。だが、それぞれが得点に貪欲になりすぎると上手く機能しない。ゴールを奪うのが仕事だが、それだけに専念していればいいわけではない。
優れたストライカーは、どこにポジションを取ればばネットを揺らせるかわかっている。つまり、各々が『自分』に目が向いてしまうと位置取りが被ってしまい、チャンスをフイにすることになる。世界で活躍する彼らが貪欲でないはずはなく、エゴは当然出る。
しかし、それと同じくらいパートナーの生かし方を知っている。カバーニはやや下がり目でプレーしながらスアレスをサポートし、スアレスがサイドに流れた時はカバーニが最前線に陣取る。相手にとって危険なエリアに2人はいることに変わりはないが、同じ動きをしないため、脅威が半減するというもったいない事態は起きなかった。
スアレス、カバーニは共にゴールを奪うことができなかった。しかし、チームは勝利し幸先の良いスタートを切った。無得点に終わったことを悔やんでいるだろうが、彼らのエゴは『チーム』あってのものだ。仲間とともに、白星発進を喜んでいるはずだ。
次節の相手はサウジアラビア。初戦で5失点を喫したアジア勢を相手に、世界最強の2トップはどのようなパフォーマンスを見せるか。どちらかがゴールを奪えば、もう一方もすぐに続きそうな気配がある。
(文:青木務)
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