代表ユニは品薄状態。国民の期待は高まるばかり
3試合行ったテストマッチでは、アイルランド(2-0)とイタリア(3-1)に勝利したあと、最後のアメリカ戦がドロー(1-1)に終わったことで、「今までの期待や評価が一掃された」と書いたメディアもあったが、あまり調子が良すぎる状態で本戦に臨むより、いったん気を引き締める機会が持ててむしろ良かった。
「一番重要なところで勝つためには、その前に思い通りの結果を出せない経験をしておくことは効果的だ」と、フィギュアスケートの羽生結弦選手のコーチ、ブライアン・オーサー氏も言っていた。
フランス代表は、全体としては、準優勝に終わった2年前のEUROのチームを熟成させてきた形にあるが、両サイドバックのパバールとエルナンデス、トリッソ、フェキル、エンゾンジら、代表歴の浅い選手たちもキーパーソンになれる可能性を秘めた、予想以上に意外性のあるチームでロシアに乗り込んできた。
いわば普通に美味しかったものに、違う調味料を加えてみたらまた違った美味しい味になった、という感じ。
そんな彼らに対する期待感も高まっていて、フランスサッカー連盟のインスタグラムのフォロワーは300万人を突破し、レキップ紙によれば、これは世界のサッカー協会でナンバー1だそうだ(ちなみにドイツは210万人、スペインは150万人)。
また、ナイジェリア代表のユニフォームが世界的に人気爆発しているそうだが、フランス代表のユニフォームも、仕入れるたびに売り切れる品薄状態だという。
ピッチ上のリーダー不在は変わらないが、既定路線を外してきた今回の変化球チームは、ちょっと面白そうだ。
フランスが初優勝した1998年からちょうど20年目の今年、金色に輝くトロフィーを、フランスに持ち帰ることはできるだろうか。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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