途中出場を想定した調整も
4年前のグループ最終戦で対峙したコロンビアも、当時22歳の若きエース、ハメス・ロドリゲスを温存し、後半頭から投入してきたことで、日本のかすかな希望を粉砕した。
「ズタズタにされた思い出しかない」と長友は4年経った今も深い傷が癒えていないことを吐露したが、ジョーカーにそこまでの破壊力があれば、試合の流れを瞬く間に変えることができる。
それは前回初戦・コートジボワール戦(レシフェ)のディディエ・ドログバも実証したこと。今回の西野ジャパンでそういう切り札的存在になるとしたら、乾ではないかと目されていたが、彼はパラグアイ戦で強烈なインパクトを残したことで先発組への繰り上がりが濃厚。香川にしても同様で、やはりハメスやドログバ級の影響力をもたらせるのは、背番号4をつける男になるのではないか。
カザン初練習で、その本田は走りのトレーニングでも負荷を上げ、7対7のゲーム形式でもアグレッシブさを前面に押し出すなど、調子を上げようと躍起になっている。コロンビア戦の出場が短時間になるのなら、より瞬発力と爆発力が求められてくる。それを自覚しているからこそ、練習でも追い込みをかけているに違いない。
自身の長年の夢だったACミランの10番をつけるところまで飛躍したロシアという国に凱旋する以上、無難なパフォーマンスでは周囲も自分自身も納得しない。
西野体制移行後のテストマッチ3試合でやや低下した自身の価値を再び認めさせるべく、32歳になったアタッカーには残された準備期間を最大限生かすべきだ。過去ワールドカップ2大会の初戦で連続ゴールを挙げている勝負強さを取り戻すのは、まさに今しかない。
(取材・文:元川悦子【カザン】)
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