「僕が途中から? そういう戦い方もある」
その本田だが、13日に32歳の誕生日を迎えたが、報道陣には「ありがとうございます」と一言発しただけでノーコメントを貫いた。パラグアイ戦2日前の10日の練習後に「ここからは自信を過信に変えていくフェーズだと思っている」と臨戦態勢に突入する意思表示をしていたが、そういう時の本田が公の場で言葉を発しなくなるのは、今に始まったことではない。
スターダムにのし上がった8年前の2010年南アフリカ大会の頃から「2日前から喋りません」といったルーティンを始め、2014年ブラジルワールドカップに向かっていたザックジャパン時代は10日間の合宿中に1回話せばいい方だった。
ブラジル大会の惨敗後はやや方向転換を図った時期もあったが、代表キャリアの集大成と位置付ける今大会はやはり特別なのだろう。32歳のバースデーを祝ってくれた仲間たちにも「これが最後になるかもしれないワールドカップで準備を含めて時間を大切にしよう」と語りかけたというから、ロシアへの本気度が色濃く伺える。
パラグアイ戦で香川真司が近年稀に見るキレと鋭さ、ゴール前の迫力を示したことで、コロンビア戦の本田は控えに回る可能性が高まった。トップ下回帰で完全復活を目論んだ本人としては、スタメン落ちが現実になれば不完全燃焼な部分が少なからずあるだろう。
それでも「今を大事にしたい」と考える今の彼なら、ベンチからもチームを力強く鼓舞できるはず。後半途中から短時間送り出されたとしても、そこでゴールに直結する結果を出すという仕事を全うすることには変わりない。
「僕が途中から? 選択肢としては、そういう戦い方もあるだろうなっていうのは、間違いなくメンバーを見てても思うんで」と本人もジョーカー的な役割を担う覚悟も抱いている。それは多様な戦い方を模索している西野朗監督にとっても心強い材料に違いない。