攻守に随一の活躍を見せた22歳
選手個人に目を向けると、背番号17番の22歳、アレクサンドル・ゴロビンの存在が際立っていた。
左ウイングで先発し、ジャゴエフの負傷交代後はトップ下に入ったゴロビンは、4回のタックルで3度のインターセプトを成功させ、両チーム最多となる5本の決定的なパスを繰り出した。
攻撃面では12分の先制点をアシストすると、43分の2点目でも起点となり、71分の3点目となるジューバのゴールもアシスト。さらにアディショナルタイムにはFKからチーム5点目となる得点を決めるなど、攻守にわたって随一のパフォーマンスで勝利に貢献した。
こういった強さと巧さを兼ね備えた選手は世界基準で見れば少なくはないが、アジアではまだまだ存在しない。
振り返れば、ヨーロッパリーグはアトレティコ・マドリーが制し、チャンピオンズリーグではローマがバルセロナを下し、マンチェスター・シティを破ったリバプールとバイエルンを破ったレアル・マドリーが決勝を戦った。いずれもクラブレベルではボール支配率を必要としないチームが勝ち上がる現象が起きている。
毎回、ワールドカップではその後のトレンドとなるようなスタイルが注目を集めるが、「非ポゼッション」のスタイルが本格的に世界のスタンダードとなるのかもしれない。
(文:海老沢純一)
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