「戦術:C・ロナウド」の集大成をロシアで
【ポルトガル代表】
FIFAランキング:4位(2018年6月)
監督:フェルナンド・サントス(2014年9月~)
最高成績:3位(1966年イングランド大会)
欧州予選グループB 1位通過
2年前に欧州制覇を成し遂げたポルトガル代表は、当時のチームのベースを失わず、さらにスケールアップしてロシアワールドカップに臨もうとしている。
絶対的エースのクリスティアーノ・ロナウドは健在で、今季はレアル・マドリーでチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げるなど充実のシーズンを過ごした。よりストライカーとしての特徴が際立つようになったスーパースターが攻撃の柱であることに変わりはない。
C・ロナウドは母国のEURO優勝に大きく貢献したが、フランス代表との決勝戦は前半途中で負傷交代を余儀なくされ、悔しさも残ったはず。ワールドカップでは同じ轍を踏むまいと万全の状態を整え、世界制覇に燃えているはずだ。
そして、ポルトガル代表の戦術は「C・ロナウド」なのである。4-4-2をベースに、攻撃に転じれば真っ先に最前線の背番号7にボールを届けるためのチーム作りがなされている。そこに2トップの相方であるアンドレ・シウバや、マンチェスター・シティで揉まれてスケールアップを遂げた右ウィングのベルナルド・シウバ、1月に移籍したウェストハムで復調したジョアン・マリオ、円熟味を増したセントラルMFのジョアン・モウチーニョらが絡んでゴールに襲いかかる。
他方、一抹の不安を残すのが守備陣だ。センターバックでコンビを組むことが予想されるぺぺとジョゼ・フォンテはそれぞれ35歳と34歳で、後者はEURO以降パフォーマンスの低下が否めない。控えの一番手であるブルーノ・アウヴェスも強靭な肉体こそ健在とはいえ35歳で、ベンフィカで台頭した21歳のルベン・ディアスも5月末にA代表デビューを飾ったばかりと経験不足が懸念される。
EUROでは守備的なアプローチで粘り強く戦った末に頂点に立ったが、今年3月のオランダ戦では3失点して0-3の完敗。ルベン・ディアスのデビュー戦だった先月末のチュニジア戦でも2-2と、必ずしも守備が安定しているとは言い難い。
フェルナンド・サントス監督は、ロシアワールドカップに向けて2年前のEUROに近い守備的な戦い方を選択する方針で、センターバックがアキレス腱になることも考えられる。
ともあれ全てはグループリーグ初戦のスペイン戦。この試合の結果しだいで状況は大きく変わる。イランやモロッコも侮れない曲者であることは確かで、スペインに敗れてチームに動揺が走り、自信を失うようなことがあれば困難な闘いを強いられるだろう。
指揮官は今月7日のアルジェリア戦を終えた後、「ポルトガルはワールドカップに参加するために来ているのではなく、全ての試合に勝つためにいる」とチームやファンに結束を訴えた。欧州王者の自信と誇りを胸に、ロシアで狙うは世界一の称号だ。