長距離に適任なのは、やはり…
もちろん「本田圭佑」だ。
サッカーボールの特性から浅井教授がFK成功率アップのポイントとして挙げたのが、練習時に試合と同じ力でFKを蹴ることだ。サッカー経験者なら何度も聞くおなじみの指摘だが、その理由は「ボールを蹴る足のスイング速度が変わると、力学的に飛び方が変わるから」と説明する。
こう考えると理解しやすい。力をセーブして80%の力でFKを練習したとする。100%の力でボールを蹴ったときの動きは、80%の力で蹴ったボールの変化や飛んだ距離の延長上にあるとイメージしがちだ。しかし、実際のボールの動きは空気の流れとの複雑な相互作用で方向づけられるため、80%と100%のように蹴った力が変わるとボールは全く違った軌道を描くのだ。
「微妙な違いでも25m先では大きく変わってしまう」と浅井教授は話す。
ワールドカップ直前の親善試合を含めた3試合で柴崎はプレースキッカーとしてFKとCKでともに得点の”匂い”をさせるボールを供給していた。
ワールドカップの初戦まであと5日。柴崎、本田の両選手には本番を想定した力加減で練習を重ねて欲しい。そのキックでFKを決め、グループリーグ敗退の下馬評を覆し、日本を決勝トーナメントまで導いてくれることを期待したい。
(取材・文:山下祐司)
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