黄金期を支え、クラブの“顔”に
クラブの“顔”はポーランド人だ。
18年3月、ウカシュ・ピシュチェクは、ボルシア・ドルトムントとの契約を2020年まで延長した。
ハンス・ヨハヒム・ヴァツケ社長は、喜びを隠そうともしない。
「我々はほっとしているよ。マルコ・ロイスの後で、ウカシュ・ピシュチェクというさらなる選手と長期の契約を結ぶことができてね。彼はボルシア・ドルトムントそのものだ」
ミヒャエル・ツォルクSDも、言葉に熱を込める。
「ウカシュは本当に素晴らしいキャラクターの持ち主だ。どんなに難しい状況でも、常に何が何でも勝とうとする」
このように幹部が賛辞を惜しまないピシュチェクが、ヘルタ・ベルリンから加入したのは、10年7月のことだ。
当初はパトリック・オヴォモイェラのバックアッパーとして獲得されたが、オヴォモイェラが負傷したのをきっかけにレギュラーの座を確保。持ち味は戦術理解度の高さ。全体を意識しながら攻守のバランスを取り、ボールロスト時にはゲーゲンプレッシングの実践に貢献。奪ったボールを自分たちが保持している時には、戦況を見極め、的確なタイミングでオーバーラップする。
今ではすっかり現代的なサイドバックの模範になったピシュチェクだが、元々は攻撃の選手だった。転機が訪れたのは、ヘルタ・ベルリン所属時の09年。ルシアン・ファブレ監督のアイデアで、サイドバックにコンバートされた。本人はあまり気乗りしなかったという。だが、獲得を望んだドルトムントのユルゲン・クロップ監督も、ポーランド人FW の中に眠るサイドバックとしての適性を見逃さなかった。