「セオリーじゃないこともやらないと相手は崩れない」
ーー後半に香川選手が右からシュートを打ったシーンで、柴崎選手が右外に飛び出しましたよね。ペナルティエリアの手前までは行くけど、そこから前にはあまり入らないように気をつけたいと言っていたが、あの判断にはどのような根拠があったのでしょうか。
「攻撃の流れを見たというのと、1対1だったので、(自分が飛び出すことで)2対1で相手のサイドバックを惑わせたいという部分もありました。別に(パスを)出さなくても全然OKでしたし、(香川)真司さんが使っても良かった。なんだろう、それも判断の1つというか、ある程度はセカンド(ボール)を拾える位置にいたいなと思っていますけど、機を見てああいったいった(ゴールの前の)サイドで受けた選手を追い越す動きというのもあってもいいかなと」
ーーああいう動きによってゴール前で相手のマークがはがれる感触は掴めましたか?
「何て言うんですかね。悪い意味ではなくセオリーじゃないこともやっていかないと、相手も崩れていかない部分もありますし、リスクをかけて(ゴールを)取らないといけない部分もあったので。そこはボランチだろうが、どこのポジションだろうが、いけるところでいって点を取る判断はワールドカップでもしていかなければいけないと思います」
ガーナ戦とスイス戦はともに後半途中からの出場だっただけに、先発起用で90分間試合に出られたことも「久しぶりにできたのは良かったと思いますし、ちょっと疲れた部分も後半はありましたけど、試合の終盤にかけてそういった中でも動ける手応えもありました」と振り返る。4点目につながった守備も、得点が3-2になった状況で「なるべく引かないで前からいったいいという判断だった」と柴崎は語る。
スイス戦の後には「リスクと隣り合わせですけど、なるべくアグレッシブに前線に(パスを)つけていきたいというのはある」と言っていた柴崎だが、スタートから出てゲームをコントロールしながら攻撃ビジョンを描く中で導き出されるプレーというものがある。
パラグアイ戦の活躍だけで19日のロシアワールドカップ初戦・コロンビア戦のスタメンに当確ランプがついたわけではないが、柴崎自身が強大な相手に対して勝利の可能性を高められる選択肢の1つだと、指揮官に印象づける90分間であったことは間違いない。
(取材・文:河治良幸【インスブルック】)
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